堕天王の逝く道

アクセスカウンタ

zoom RSS 定期活動報告

<<   作成日時 : 2012/12/28 19:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

12月22日の記事に『ナイス』を頂きました。ありがとうございます。

今週は、小説を上げましたよ。

空白ノ翼第七章第五話『トラウマスイッチ』
その1 その2

せっかくなので、第五話執筆に関するお話を。

今回、『家族』というものを描写することになりました。両親を殺害されて天涯孤独となった櫻。橘家の養女となり、そして橘家を利用して、己が復讐を果たそうとした。そんな彼女でも、表層の思いと深層の思いとは別で。
今まで、家族『ごっこ』にもならないような拙い関係だった、橘家が母親の五十鈴を除いて、少し『らしさ』を帯びた。櫻の葛藤、心の動き、細かい体の動きなど、結構悩んだ作品となりました。
櫻の心理を掘り下げると共に、今まであまり触れて来なかった、櫻を引き取った勝彦やその勝彦の後見人である水及も、掘り下げる事になりました。
櫻が悩んでいるのと同じく、勝彦も水及も悩んでいる。特に勝彦は、人生迷いまくって来た人なので。
それは、このシーンで最も顕著だったと、私は思っています。

本文から抜粋――

 明日の朝、櫻と晃の事に一つの答えが出る。それがどんなものになるのか。勝彦は、恐れていた。何もかも、ご破算になってしまうのではないか。そんな嫌な気持ちばかりが過っていく。己の胸倉を掴み、必死に念じる。櫻を信じよう。きっと上手く行く。これでいいのだ――と。
「勝彦」
 いつからそこにいたのか。水及が襖を開け、部屋の外に立っていた。外からの熱気が、吹き込んできている事に今更気づく。
「墓参りにでも行こう」
 水及の言葉の意味がよく分からず、勝彦は『はぁ』と気のない返事をした。
 家の裏に細い道がある。山へと登っていく一本道。水及と勝彦は、その一本道を登っていく。深い森の中。太陽の光も多くは届かず、夏だというのにどことなくひんやりとしている。
 森を抜けると、強い日差しが照りつけて来る。山の斜面を利用して作られた場所。黒い御影石の墓標が、ずらりと三列になって並んでいる。反対側は、櫻町を一望でき、海が美しく煌めいていた。
 水及が先頭になって歩き、三列目の一番奥までやってくる。御影石の前面には何も書かれていない。そこに眠る人たちの名は、右側面に小さく刻まれていた。
「皆、まんじゅうを持ってきたぞ」
 水及は、優しく微笑み持っていた白い紙の箱を墓前に捧げた。勝彦は、ただただそれを見届ける。
「勝彦、あまり自分を責めるでない。お前の感情の不安定さは、そのうち椿や櫻にも伝わってしまう。もう、伝わっているかもしれないな。櫻のあの感情のブレは、お前の不安に触発された可能性もある」
「申し訳……ありません」
「私に謝ってどうする。親は、子供の前では強くなければならない。何故なら、子供にとって親は大きな太陽だからだ」
 水及はそこで、勝彦へと体の向きを変えた。背が小さくて、見た目は櫻と同じ年齢にしか見えない。それでも彼女の顔は、母親のような慈しみがあった。
「勝彦を許していないのは、勝彦だけだよ」
 その言葉は、勝彦にとって衝撃的なものであった。
「橘家の本家が九藤(きゅうどう)家に滅ぼされ、『残党狩り』と称して、多くの橘家の人間たちがむやみやたらに殺され、絶望し、世を恨んで死んでいくしかなかった。そんな彼らに、お前は家族を与えた。結局、無残な形で終焉(しゅうえん)を迎える事になったが、誰もお前を恨んでなんかいない。それは、一哉だってそうだ」
 その時、強い風が吹き抜けていった。水及の長い髪が、旗のように揺れる。
「彼らを代表して、水及が勝彦に伝える」
 水及は、墓標に左手を乗せた。
「ありがとう」
 その時、勝彦は確かに見た。水及を通して、かつての仲間たちの姿、三人の妻、そして二人の娘と息子の姿を。頬を伝わる一滴の涙。勝彦が強く瞳を瞑りと、次から次へと涙が溢れて来た。
 立ったまま静かに泣く勝彦。水及は、そんな勝彦に右手を伸ばそうとして、引っ込めた。左手でその右手を抑え、胸に抱く。そして、墓標へと視線を映し、そこに映る自分の顔を見て苦笑して見せた。

――ここまで。

水及の言葉で、勝彦は救われたのか。全部が全部救われたとは思えませんが、かなり心は軽くなったと思います。なにせ勝彦は、『水及にも許してもらえていない』と思っていたから。その事に、肝心の水及は気づいていないと思うけど。
ちなみに、『三人の妻』というのは、浮気をしていたわけじゃありません。すべて死別です。本当は、5人いるんですけどね(笑 前の二人は、多分忘れている。政略結婚の2人と恋愛結婚の3人の違いですかね。
一哉は息子になります。もう亡くなっているのですが、勝彦は一哉の死に立ち会っていないのです。だから、『それは、一哉だってそうだ』の台詞を、水及が付け加えたのです。
このシーンの最後は、水及の葛藤です。

私自身、長い付き合いである彼女たちの事をより深く知れたような気がしました。難しかったけど、書ききれてほっとしております。

そんなわけで、第五話『トラウマスイッチ』。興味がある方は、是非お願いします。



では、定期活動報告です。


空白ノ翼について 
第七章第五話『トラウマスイッチ』執筆中。進行度(8/8)
書き終わりました。

幽世喫茶
イメージ調整中。どんな終わり方にするのかを考えています。まずはそこから。

天使の階段
動きなし。

二次創作:絶園のテンペスト
ネタを書きとめています。

参加決定イベント
2013年
1月20日 COMIC CITY福岡31 福岡Yahoo! JAPANドーム→サークル参加証、届きました。

小説
空白ノ翼 第七章『覚醒予兆』

<あらすじ>
小泉由紀子の中に眠る、『赤鬼(せっき)』と呼ばれる力。その力が、由紀子の生命の危機に呼応して、発現暴走してしまう。『赤鬼』を封印するため、由紀子の親友である橘椿が奮闘する。

第一話 『沙夜の友達』 公開中です。
http://47762756.at.webry.info/201112/article_4.html
第二話 『覚醒予兆 前編』 公開中です。
その1 http://47762756.at.webry.info/201112/article_13.html
その2 http://47762756.at.webry.info/201112/article_14.html
第三話 『覚醒予兆 後編』 公開中です。
その1 http://47762756.at.webry.info/201202/article_5.html
その2 http://47762756.at.webry.info/201202/article_6.html

第四話以降のあらすじ
十年前、鬼神皇と呼ばれる組織に拉致された藤堂晃。彼は、薬物調整と人体改造を受け、幹部の一人として戦っていた。橘家に保護された晃。薬物が抜けていくと同時に、彼は少しずつ本来の自分を取り戻していく。
生き別れの妹との関係修復。これから、どうやって生きていくのか。空白の10年間を埋め、社会へと復帰していく第一歩を描く。

幽世喫茶
十一作目完成。次は十二作目。

隻腕のメイラ
あらすじ
人間の国と魔族の国、その国境に面した町。その人間側の町には、『蛇』と呼ばれる連中がいる。彼らは、本来正式な手続きを経て発行される『通行許可書』を無視して、違法に国境を渡る手助けをする者達。法の網目、警備の網目を掻い潜り、巧みに人や魔族を越境させる彼らは、まさに『蛇』と呼ばれるにふさわしい存在だった。
その蛇をしている若い男がいた。彼は、金を稼ぎつつ、情報を得ていた。行方不明になった妹の行方、彼はそれをずっと探している。
その日は、冷たい雨が降っていた。若い男は、路地裏に転がる薄汚れた少女と出会う。左目と左腕が欠落した、満身創痍の彼女は、到底生きているようには思えなかった。しかし、彼女は生きていた。
少女は、魔族の国から来た魔族だった。能力を制限する『ギアス』と呼ばれる特殊銃弾を受けた彼女は、若い男に交渉を持ちかけた。
妹の行方を探す代わりに、72時間の間、匿ってほしい――と。ギアスの効果は、72時間。能力を制限された状態では、まともに戦えない少女は、なんとしてでも72時間、逃げ切らなければならなかった。
若い男と少女の逃亡劇。その最中、若い男はいくつもの選択を迫られる。
今の生活を取るか、少女と共に逃亡生活に身を落とすのか。
少女を追いかける組織から、少女を手渡すか少女と共に抗うのか。
そして――。
行方不明になっていたはずの妹が突然姿を現す。
妹を選ぶのか、少女を選ぶのか。
この物語は、若い男の選択の物語。

二次創作小説
UN−GO
俺の屍を越えてゆけ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
定期活動報告 堕天王の逝く道/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる