堕天王の逝く道

アクセスカウンタ

zoom RSS 瑠衣子と女帝の神さがし 第二話『異世界から来た神』

<<   作成日時 : 2010/11/03 10:40   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

完成は来年か? とか言っていたら、もう出来た。
メインの空白ノ翼は、アレから3行しか進んでいないのに(苦笑。なんだか、今これを書くのが猛烈に楽しい。

今回は、第一話の補足。そして、第三話から続く物語への道を示す物語です。序盤から第一章へ切り替わっていく。そんな過程のお話。新キャラもちょこっと出てきます。

物語を載せる前に、前回のあらすじを。

堕天王式魔法少女
瑠衣子と女帝の神さがし

あらすじ
その日、沖宮瑠衣子は、深紅の髪の少女と銀色の甲冑を着た女が戦っている所に出くわした。深紅の髪の少女を助けるためには、大地の杖のレプリカを使って強制神化を成し遂げるしか道がない。と、黒い髪の少女に言われて、瑠衣子はこの日、強制神化、変身を遂げ、魔法少女っぽい何かとなった。
黒い髪の少女の協力もあって、銀色の甲冑を着た女を退けた瑠衣子。深紅の髪の少女を連れて、自宅へと戻るのであった。

第一話 『私は、魔法少女になった』
http://47762756.at.webry.info/201010/article_15.html

登場人物
沖宮瑠衣子:本作主人公。25歳で、魔法少女となる。正義感が強い。
深紅の髪の少女:瑠衣子が助けた少女。その正体とは?




第二話 『異世界から来た神』

「……はい、すいません。明日の遅出は行けます。はい。ご迷惑をおかけします」
 瑠衣子は、電話を切る。職場に今日休むと連絡を入れたのだ。さすがに、今日仕事に行く気にはなれなかった。
 大地の杖のレプリカ。瑠衣子を、強制神化させた魔法の杖。それを携え、瑠衣子は自分の部屋へと向かった。
 現在、午前七時半。朝の涼やかなる空気が、静かに流れている。自分の部屋の扉の前まで来て扉を叩こうとした時、鈍い音を立てて先に扉が開いた。
「……起きたんだ」
 朝の光を浴びる、深紅の髪の少女。瞳の色は、金色である。昨日、瑠衣子が大地の杖のレプリカを使って強制神化して得た力で助けた少女。大地の杖のレプリカがここにあるように、夢でもなんでもなかったことを瑠衣子は実感する。
「怪我はもう大丈夫なの?」
 銀色の甲冑を着た女と対峙していた時、女帝は自分の左腕を抱いていた。しかし女帝が昏睡した後、瑠衣子も怪我がないのか左腕を確認したが、それらしきものは見つからなかった。そうなると、本人に聞くしかない。外傷がなくても、打撲や脱臼という可能性は残っている。
「私は人ではありません。昨日の怪我なら、もう修復が完了しています」
 さらりと当たり前のように言う。深紅の髪の少女の視線が、瑠衣子が持つ大地のレプリカに向けられた。
「大地の杖のレプリカ……途中で無くしたものだと思っていました。愚者に奪われていたのですね」
「あっ、これね。色々と聞きたいけど、教えてくれる?」
「はい。あなたには知る権利があります」
 すっと一歩踏み込んでくる深紅の髪の少女。髪の毛が、ふんわりと舞う。両手を差し出し、瑠衣子の頬に触れる。
「あなたは怪我をしていない?」
「し、して……ない」
 少し背を逸らした形で固まる瑠衣子。顔を真っ赤に染めている。
「そう、それは良かった」
 慈愛に満ちた笑みを浮かべる深紅の髪の少女。瑠衣子の硬直は、深紅の髪の少女が離れるまで続いた。
(へ、変なものに目覚めてしまう所だった……)
 瑠衣子は心の中でそう呟き、大きなため息を吐く。深紅の髪の少女と共に居間へ。テーブルを挟んで向かい合う。
(にしても、何この美少女。綺麗な髪、綺麗な肌、綺麗な瞳……これが三次元の人間だというの? 勝てる要素が何もない)
「どうかされましたか?」
「ちょっとね……」
 目に見えて落ち込んでいる瑠衣子に、深紅の髪の少女は不思議そうに首を傾げた。
「いやいや、こんな所でへこんでいる場合じゃなかった。じゃ、自己紹介から。私は、沖宮瑠衣子。あなたは?」
「女帝と言います」
 今度は、瑠衣子が首を傾げる番だった。
「女帝? それが名前なの?」
「はい、それが私の存在を指す言葉です。こことは違う世界、そこで二十二柱の一柱として活動してきた神です」
「神……神様か」
 瑠衣子と女帝の間に置かれてある、大地の杖のレプリカ。この杖で強制神化を成した瑠衣子には、女帝の言葉の意味することが分かった。彼女は、本当に神なのだ。そう、瑠衣子が認識するこの世界にはその形を見る事が出来ない神。それが、今目の前にいる。それが現実であった。
「その異世界では、神様がうようよいるの?」
「私たちも含めて、二百四十柱活動していました」
「二百四十人いたってことか。多いのか少ないのか分かんないけど、神様が実際に居る世界からやってきた。そういう認識でいいの?」
「はい。一度、神化を経験されているから飲み込みがよろしいですね」
「その神化についても聞きたいけど、先に、どうして私たちの世界に来たのか。そして、あの月? 愚者? あの人……神様なのかな、についても聞きたいんだけど」
 深紅の髪の少女――女帝は、俯いた。表情に陰りが生まれる。
「色々とありました。今、その事を私自身が上手く説明できません」
「辛いなら、その部分はいいよ」
「ありがとうございます。大きな戦いを得て、私を含めた二十柱は自分たちの世界から追放されました。月は、私を個人的に恨んでいます。愚者は……」
 女帝は、いつから持っていたのか金色の先が十字架になった杖をテーブルに置いた。瑠衣子が持っていたレプリカと違って、多くの宝石があしらわれた豪華な杖である。
「これは、大地の杖のオリジナルです。元々私が所有し、私の力の根源でもあります。この大地の杖に細工をし、さらに三本のレプリカを作ったのが愚者です。大きな戦いに挑む前に、愚者から三本のレプリカも預かっていたのですが、いつのまにか紛失していて……今思えば、愚者が回収していたのですね」
「なるほどね」
 元いた世界から何かしらの戦いの結果、こちらの世界へとやってきた二十柱の一柱。彼女は、そういう存在らしい。ふとそこで、瑠衣子はあることに気付いた。
「二十柱?」
 女帝は、最初『二十二柱』と言っていた。全ての神がこちらの世界に来たわけではないのかもしれない。それともまた違う要因があるのか。
 女帝が、大地の杖のオリジナルとレプリカを抱えて立ち上がる。瑠衣子は、考え事を止めてそんな女帝を見上げた。
「この度は、本当にお世話になりました。おかげで、私は私の使命を全うするための猶予を得る事が出来ました。沖宮瑠衣子さん、あなたはあなたの現実に戻ってください。このご恩、忘れません」
 女帝は深々と頭を下げて、部屋の出口へと歩いていく。
「ちょっと待って!」
 瑠衣子はテーブルに片手をついて、少しだけ体を立たせた。
「どこに行くつもりなの?」
「仲間を探しに。それが、私が私に与えた使命」
「探すって、どこにいるか分かっているの?」
「それは、時間をかけて探すしか道はありません」
「時間をかけてって、住む場所は? そもそもお金を持ってないでしょ? 食べるものとかどうするのよ」
「なんとかなると思います」
 女帝は、全く迷いなくそう笑った。それが、瑠衣子にとってとても不安に感じた。直感的にこの女帝、元々から後先を考えない性格なのではないか――そう思えるほどに。
「いやいや、多分それ死亡フラグだし。あの月とかいう奴は倒したけど、あなたを憎んでいる神は、アイツだけ……というわけではないでしょう?」
 現在判明している神は、女帝、月、愚者のたったの三柱。残り、十七柱もこの世界に存在することになる。それらが全て女帝に友好的であるはずがない。事情が分からない瑠衣子にも、それぐらいは察する事が出来た。
「私はね、あなたを助けようと思ったその時から、最後までその責任を全うする気でいた。ここにいなさい。この世界の協力者は、どっちにしても必要でしょ? 効率的に物事を運び、安全かつ確実に自分の使命とかいう奴を果たしたいなら、あなたはここを立ち去るという選択肢を選ぶべきじゃない!」
 きっぱりと瑠衣子は言い切った。それは、見事な切れ味だった。女帝は圧倒されていた。瑠衣子は、そんな女帝をじっと見つめている――というよりかは、睨みつけているようであった。女帝は、しばらくしてクスリと笑った。
「やはりここは私の世界とは違うのですね。この私にそこまでの物言いをするなんて、人間ではあなたが初めてです。しかし、私の事情にあなたを巻き込むということは、常に死の危険が付きまとうという事です。変身を遂げたあなたにも分かるはずです。それでも、私を引き留めるのですか?」
「そんなものひっくるめて、全て承知の上で言っているに決まっているでしょ」
「そうですか。ならば、敢えて言いましょう。沖宮瑠衣子、あなたは大馬鹿な人間です」
「あんですと!」
 瑠衣子は立ち上がって、女帝を指さした。
「人が助けてやるって言っているのに、馬鹿呼ばわりって、ちょっといい性格しているじゃない!」
「私が希望したわけではありません。それに、馬鹿は馬鹿でもあなたは大馬鹿。褒め言葉ですよ。なかなか、そんな貴重な馬鹿はいません」
「そこまで言う?! なら、アンタは何さ! 『なんとかなります』って、天然ボケの向こう見ず、考えなしと揃ったら、救いようがないじゃない!」
「凄いですわ。この神である私に、そこまでの罵倒。愉快ですわ」
「しかもドMなの?! くっ、対応に困る!」
「ドM? その言葉を私は知りません。でも、なんとなく意味は把握しました。瑠衣子さんは、語彙が豊富なのですね。他には、どんな罵倒の言葉あるのですか?」
「ドMなら、言わない! 喜ばすだけだから!」
 瑠衣子は頭を抱えて、座り込んだ。何を言っても、ニコニコと笑って煙に巻かれてしまう。それにこんなやりとりでも分かったことはあった。女帝の『大馬鹿』というのは、彼女なりの本当の褒め言葉なのかもしれない――と。彼女の発言には、相手を非難する言葉が全く含まれていない。
(天然系、恐ろしいわぁ……)
 瑠衣子が大きなため息を吐いているのを、女帝は楽しげに見守っていた。
 仕切り直して、女帝と話を詰めた。女帝は瑠衣子の部屋を拠点とし、仲間を探す事。家事一般は、主に瑠衣子の仕事となった。女帝は、存在を開始してから今まで料理どころか掃除もしたことがないとの事。神であるが故、仕方がない事なのかもしれない。
「けれども、この世界では私もしなければならないことだと認識しております。色々と、ご指導をしてください」
「神様は全知全能なんでしょ? ぱぱっとなんとかならないわけ?」
「もともといた世界では、全知全能に限りなく近い存在でしたが、こちらの世界ではこちらの世界の『ルール』が存在します。そのルールから外れている今となっては、私は普通の人間と変わらない程度の力しか持っていません」
 女帝は、実生活では全く役に立たないことが判明した。
「分かった。なら、一緒にいる時は出来るだけ一緒にしましょう」
「お願いしますわ」
 女帝は、楽しそうだった。彼女は彼女で、新しい生活を楽しみにしているようであった。
「じゃ、必要なものを買いに行きましょう。服もそのままというわけにもいかないし……とりあえず、そのままだと目立つから私の服を貸すから、着替えようか」
「瑠衣子さんのお洋服ですか?」
 女帝は、瑠衣子を上から下まで一通り見て首を傾げた。
「一回り小さい私が、着る事が出来るでしょうか?」
 瑠衣子も、女帝を上から下まで一通り見る。
「……無理ね。なんで、そんなに小さいの?」
「そんな事を言われましても」
「しょうがない。最初は、その服で出かけるしかないか」
 女帝の服は、豪華な赤を基調にしたドレスである。映画やアニメの中でなら不自然ではないかもしれないが、現実の日本でこの格好は、どう考えても目立ちすぎる。
「とりあえず、服を最優先ね」
 そんな風に話していると――。
「話はまとまったようですわね」
 女性の声が室内に響いた。
「うわっ! 誰?」
 いつから居たのか。ベランダがある窓の前に、巫女装束をまとった黒い髪の少女が立っていた。年の頃は、十代の半ばぐらいか。腕を組み、不遜な態度で仁王立ちしている。
「先程から窓の外に居たようです。瑠衣子さんのお知り合いかと思っておりました」
「こんな変な奴、知り合いなわけないでしょ?! 大体、窓には鍵がかかっていたのよ。どうやって入って来たのよ!」
「まぁ、それは神々の神秘というやつですわ」
「うさんくさい……て、神? 神なら、女帝の知り合いじゃないの?」
 しかし、少女の瞳は黒い色をしている。女帝たちの共通点である金色の瞳ではない。
「神は神でも、この世界の神様ではないでしょうか? 用があるのは、私ですか?」
「えぇ、少しお話をしたいことがありまして」
 女帝と黒い髪の少女の瞳がぶつかり合い、異様な空気が漂い始めた。その間で、瑠衣子はオタオタと二人の顔を交互に見ている。
 この黒い髪の少女は一体何者なのか。女帝をどうするつもりなのか。問題は、まだまだ続く――。


 第二話 END

次回は、黒い髪の少女の正体が明かされ、女帝が抱える問題が判明する話。その問題を解決するための妙案。犠牲になるのは瑠衣子? 

頭の中に話は出来ていますが、いつ出来るかはわかりません。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
瑠衣子と女帝の神さがし 第二話『異世界から来た神』 堕天王の逝く道/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる