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zoom RSS 空白ノ翼1 由紀子夏樹編第十六話『悪夢の始まり』、連載開始

<<   作成日時 : 2008/01/31 23:44   >>

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昨日お知らせしましたが、修正が今日の朝に完了しましたので、公開に踏み切ります。
ついに十六話。残り、4〜5話ぐらいかな。
終盤に差し掛かってきていますが、結局今回も伏線を張るだけで終わってしまいました。
新キャラも三名ほど追加。
今回の話から、プロット名『由紀子イジメ編』となります。
名前の通り、由紀子へのイジメが始まります。
首謀者は誰なのか。
首謀者を探さない、あくまでスルーする方向の由紀子。
首謀者を探し出し、懲らしめたい新キャラ井上藍。
二人で辿りつく先には、一体何が待っているのか。
『由紀子イジメ編』は、そんな内容です。全4話程度かな。3話程度に収まればいいのだけど。

では、始めましょう。

由紀子・夏樹編 1〜12話
http://www5f.biglobe.ne.jp/~pfive/tyouhen/yukine1.html
13話
http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2007&month=8&day=20&cat=2714datenou
14話
http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2007&month=9&day=28&cat=2714datenou
登場人物
http://www5f.biglobe.ne.jp/~pfive/tyouhen/cyara.html


 由紀子・夏樹編 第十六話『悪夢の始まり』 その1

「ただいま」
 家に帰ると、『藍(あい)』と母親が待っていたとばかりに姿を現した。いつもはこんな事をする人ではない。不思議に思っていると、『帰ってきたか』と父親まで出てきた。仕事はどうしたのか、そう聞きたくなったが、とりあえず空気を読んだ。
「お父さん、藍に」
「あぁ、分かっている」
 二人は、玄関に立ち尽くす藍の前で正座をする。
「今、本家の方からご連絡があった。藍、お前の出番だよ。小泉由紀子(ゆきね)に接触しなさい」
 『あぁ・・・そうか』と心の中で呟く。
 すっかり忘れていた。本来の目的というものを。
 ――忘れていたかっただけかもしれないが。
 しかし、時は来てしまった。断ることは出来ない。それが与えられた使命であり、今までの生活はそれを誤魔化すための演技だったのだから。
 そう――演技だったのだ。
 だが、彼女の表情はどこか苦虫を噛み潰したようなものになっていた。

 スーパーで買い物を終えた尼崎(あまがさき)月子(つきね)の手には、買い物袋が二つ。『よっこらっしょ』と言って、持ち直す。後は、お肉を買って帰宅するだけ。
 ――おやつにコロッケも買おう。晃君が喜ぶから。
 歩き出した彼女であったが、前方から人が歩いてきている事にはまったく気付いていなかった。ゴンと、その人の胸に頭をぶつけてしまう月子。そこで時が止まったように固まっていた彼女は、慌てて三歩ほど後ろに下がった。
「あ、す、すいません! 考え事をしていたもので」
 相手は、体格のしっかりとした二十代の若い男性だった。人のいい笑みを浮かべて、『俺はいいけど、君は?』と逆に聞いてきた。しかし、月子にはその言葉は届いていなかった。
「あ・・・神山(かみやま)聡(さとし)・・・」
 それが失言だという事に気づいた月子は、慌てるが後の祭り。聡と呼ばれた若い男性は、不思議そうに月子を見ていた。
「俺の事、知っているのか? あれ・・・けど、その顔は・・・」
「えと、あの、もう随分昔の話ですから。ごめんなさい、こんな所で会うなんて思っていなくて」
 完全に舞い上がっている月子。それには色々な理由があり、本来ここで出会っても知らない振りをしておかなければならなかった。しかし、こうなっては仕方ない。出来るだけ話を早く切り上げることに努めるしかない。
「そうか。まぁ、ここで出会ったのも何かの縁だろう、きっと。悪いけど、名前を聞いていいか? 俺、物忘れが酷くてさ」
 物忘れが酷い――ではない。彼が記憶喪失である事を知ってはいるが、記憶喪失に関わらず彼には月子の記憶なんてものはそもそもない。あの時、彼は全てを忘れさせられたのだから。
「月子です。ごめんなさい!」
 結局、月子は全力で逃げた。彼と話していると、色々とボロが出そうだったからだ。
 お肉を買い忘れたことに気付いたのは、家に着いてからであった。
「後で・・・また買いに行かなきゃ」
 ため息を吐きつつ居間へと行くと、『おかえりなさい』と同居人の藤堂晃(あきら)の明るい声が迎えてくれた。『ただいま』と返す月子の表情を見て、晃は心配そうに『なにかあったの?』と尋ねた。
「ちょっとね」
 苦笑を浮かべる。晃に話しても、しょうがない話である。彼とのことを説明するわけにも行かない。
「でも・・・大きくなっていて、びっくりした。茜様が生きていたら、側にいたのかな」
「えっ?」
「ううん、なんでもない。ゴメンネ、晃君。お肉買い忘れてきちゃったから、ちょっとまた行って来るね」
 ありえない光景を胸に残したまま、月子は居間を出ようとする。
「あ、月子さん、僕も行きます」
 すると、晃も立ち上がりついてきた。断る理由もないし、彼には色々な事を教えなければならない。この方が都合がいい。
「晃君、頑張ろうね」
 運命に翻弄された晃に、思わず昔自分が仕えていた主君の姿を重ねてしまう。今度こそ、最後まで支えてあげたい。そんな事を思いながら、月子は晃の手を取るのであった。

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