堕天王の逝く道

アクセスカウンタ

zoom RSS 『山城の新しい生活』 艦これ二次創作小説

<<   作成日時 : 2014/09/14 19:50   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

艦これの二次創作小説です。
苦手な方、興味のない方は、避けてください。


登場する艦娘は、山城と妙高です。
山城は、私の鎮守府に最初に来た戦艦です。今でも、伊勢に続いて、二番目にレベルの高い戦艦。そんな山城は、鎮守府でどんな生活をしているのか。それを妄想したお話です。
山城、大好き。





   『山城の新しい生活』



 昼食を食堂で食べた帰りの事である。提督は、鍬を持って歩いている山城を見つけた。
 艤装は外して、鍬一本。火力はガタ落ちである。
「まぁ、艤装があるのに鍬で戦うわけがないか。一揆じゃあるまいし」
 艦娘が一揆を起こすとなると、矛先は間違いなくて提督である。しかし彼女は、執務室がある管理棟とは違う方向に向かっていた。
 午後からの仕事は特にない。それに、今日の秘書官は妙高だ。提督が居なくても、細々な仕事は処理してくれるだろう。
 提督は、山城の後を追いかけてみる事にした。心の中で、妙高に謝りながら。
 山城を追いかけて辿り着いた先は、畑だった。鳳翔が、作物を育てたいという申請を出してきたので、鎮守府の使っていない敷地を提供したことがあった。
「山城」
「提督?!」
 山城は、まさに飛び上がらんばかりに驚いていた。
「お前も作物を育てるのか?」
「あっ、はい。正確には、始めようかと思っていた所なんです」
 山城の視線の先は、雑草が生い茂っている。すぐ傍には、鳳翔が管理していると思われる立派な畑がある。山城は、この雑草生い茂る土地を耕して、第二の畑を作るつもりのようであった。
「山城が農作業なんて」
「あの、似合いませんよね……?」
 山城が、憂鬱な表情になる。
「そういう事を言っているわけじゃないんだ。なんか山城って、茶道とか華道とか、そういうイメージがあったからさ。ちょっと意外だったんだ」
「私、手先はあまり器用じゃないの」
「そうなのか。それにしても、どうして農作業を? 鳳翔の影響か?」
「はい。鳳翔と話をしていたら、興味が出て来て」
「扶桑とは一緒じゃないんだな」
「お姉さまには、泥臭い事を勧める気になりませんでしたから。それに、最近お姉さまは、日向と囲碁を嗜むのを楽しみにしているようだったので」
「そっか。じゃ、俺も手伝おうかな」
「提督? あの、お仕事は……?」
「今日の秘書官は、妙高だからな。全幅の信頼、という奴だ」
「私、妙高から苦情が来ても、庇いませんからね」
「その時は素直に謝るさ」
「……では、提督のお手を借りさせて頂きますわ」
「あぁ、力仕事は任せろ」
「戦艦の私に対して、言う言葉ではないと思うの」
「ははっ、確かにな」
 こうして、山城と一緒に畑を耕す事となった。
 その後、鳳翔と伊勢が合流した。夕方近くまで作業はかかったが、最初の雑草の生い茂っていた土地は、すっかりと綺麗に整地する事が出来ていた。
「提督、今日はありがとうございました」
 山城が深々と頭を下げた。
「別にいいよ。それよりも、改めて聞いていいか? どうして、農作業だったんだ?」
「それは……笑わないでくださいね」
 そう前置きして、山城は言葉を続けた。
「私、戦艦ですから、物を壊す事しか出来ないの。そんな私でも、何かを生み出す事が出来るのか……そう思ったんです」
「山城にならできるさ。立派な野菜が採れたら、扶桑はもちろんのこと、時雨や満潮にもご馳走してやらないとな」
「上手く出来るか分かりませんけど……」
 その後に、山城は提督に届かない小さな声で続けた。
「不幸な私に幸運を届けてくれた提督がそう言うなら、私にもできるかも」
「ん? なんか途中から聞こえなかったけど」
「提督には関係のない事です! それよりも早く戻らないと、妙高さんから夕食禁止令が発効されるかもしれませんよ」
「それは困る! ここは羽黒辺りを捕まえて、仕事をしていた風に証言してもらう裏工作をしておくか」
「提督。羽黒にそんな事を頼もうとしていたのですか?」
 底冷えのする声が届いた。
 いつのまにか、妙高がすぐ傍にやって来ていた。提督の顔から血の気が一気に引けた。
「い、いや、違うぞ、妙高。とりあえずな、俺の話を聞いとくべきだと思うが」
「戻ってくるのが遅いと思ったら……山城、提督を返してもらいますね」
「いててて! 耳! 耳を引っ張らないでくれ!」
「今日という今日は、この妙高、堪忍袋の緒が切れました。覚悟してください」
 提督は、鬼のように怒った妙高に引っ張られて行ってしまった。

 妙高に説教されて、気付いたらとっぷりと夜が更けていた。
 己の所業の結果とはいえ、提督はどっと疲れた様子で管理棟を後にした。
「提督」
「あれ? 山城じゃないか」
 管理棟の入り口の近くで、山城が両足を抱えて座っていた。
 提督の姿を認めると、立ち上がってスカートの埃を払った。
「私のせい……だから」
「山城のせいじゃないぞ。俺が勝手にやった事だから」
「それでも、今日は手伝ってくれたから。その、鳳翔と夕ご飯を作ったの」
「そうなのか!」
「味は、多分大丈夫……よ。だから、一緒に……行きましょう」
 食堂は閉じていたため、このままだと本当に夕ご飯を食べ損ねてしまう所であった。提督は、山城と鳳翔が作った食事にありつく事が出来た。
 美味しいという度に、山城の表情が柔らかく変化する。

 山城は、この鎮守府で幸せな時を過ごしていた。



 END

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『山城の新しい生活』 艦これ二次創作小説 堕天王の逝く道/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる