堕天王の逝く道

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zoom RSS 地元を舞台にした小説

<<   作成日時 : 2013/06/26 22:55   >>

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企画もまだ手を付けていないのですが、イメージだけお知らせできればと思い、ノリで小説を一本書きましたので、公開します。これはあくまでイメージで、キャラの名前も決まっていません。
『こんな小説を考えているのか』
というのが、伝わればいいな、その程度のものです。

正式な第一話は、いつになるかは分かりません。企画書自体は、来月の半ばに立ち上げるので、早ければ8月の末のCOMIC CITY福岡で1話を載せた小冊子程度は出せるかもです。


では、宜しくお願います。

ちなみに舞台となった場所
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   現代ファンタジー小説『そんな彼女は、絶対唯一神』


 彼女と出会ったのは、新緑が輝く、良く晴れた日だった。
 いつもの散歩コースで、彼女は『落ちて来た』。そして、戸惑う彼にこう言った。
「私は、絶対にして唯一の神である」
 ――と。

 寒い冬が終わり、肌寒い春が駆け抜け、ゆっくりと夏が近づいてくる。彼は、そんな天気の良いお昼間に、ブラリ――ブラリ――と歩いていた。
 夜勤明けの午後。体内時計の正常化を目的にして、彼は太陽の下を歩く。それがどれほどの効果があるのかは分からないが、午後ぐっすり寝てしまうと夜が鬼のように怠くなるのに比べて、少しは夕方以降の体調がいいのも確かである。
 散歩のコースは決まっている。家を出て、三郡山を目指して歩き、特別養護老人ホームの前を横切ると、視界が一気に広がる。道路を隔てて向こう側は畑が広がり、少し小高い丘があって、その向こう側は三郡山を中心にした、三郡連山がどっしりと座っている。どこまでも青々と輝く山の姿は、幼少の頃から見上げ続けた、故郷の姿そのもの。この土地を離れて、どこか遠くへ行ってしまっても、思い出すのはこの三郡連山の雄々しさであろう。
 最初の目的地は、小高い丘である。丘の名前は、『塔ノ尾公園』。畑の向こう側に、こんもりと盛られた土の塊。それは不自然な形でそこにあって、畑から急に直角に盛り上がっている。その不自然さから、これが人工物であるという事は明白である。
 子供の頃から、この辺りを遊び場にしていた彼であるが、この小高い丘に『塔ノ尾公園』なんていう名前が付いているのを知ったのは、大人になってから。それもここ最近の事である。
 道路を道なりに少しだけ下って、それから道路を渡って、田んぼと民家の間の細道に入る。もう人の住んでいない寮の前を通って行くと、『塔ノ尾公園』と書かれた木の杭が立っており、その真後ろに断崖絶壁が立ちはだかる。左右に道が分かれており、彼は左へと折れる。少し進むと、塔ノ尾公園の頂上に出る、長くて急な階段があり、彼はそれをとぼとぼと登って行く。
 この階段、空へと続いているような錯覚を引き起こす。階段の終着点が丁度空との境界線になっており、その向こう側が見通せないからだ。急な階段のため、後半は息が切れて来る。なんとかかんとか登りきると、彼は後ろを振り返った。
 眼前に広がるのは、自分が幼い時から住んでいる町の姿。高い建物は、県営のとびたけ団地ぐらいなもの。手前は畑や田んぼばかりで、その向こう側は住宅街が広がっている。右手の方に視線を向けると、町を縦断する宇美川が見える。
 改めて、塔ノ尾公園の頂上へ。頂上は、綺麗な平らに整えられており、周囲が柵で覆われている。少し歩を進めて中央に立つと、びっくりするぐらい三郡山が近く見える。もう視界一杯。どこにも逃げ場のないぐらい、三郡山の姿。彼は三郡山に背を向けて、歩をさらに進める。塔ノ尾公園の端。先程の塔ノ尾公園と書かれた木の杭の真上になる。そこにあるベンチの上に立つと、遠く向こうの福岡市まで見渡せる。
 ここは、彼のお気に入りの場所。景色が良く、なおかつ誰もいない。この頂上で人と擦れ違うことなど、滅多にないのだ。ここはまるで、世界から隔絶された箱庭のようで。彼は、そんな様がとても気に入っていた。
 ベンチに座って、空を仰ぐ。三郡山を駆け降りて来た風が、心地良く流れていく。音らしい音はほとんどしない。ただただ、風が草木を揺らす音が聞こえるだけ。しばらくの間、そうやって空を見上げたり、ぼんやりと地面を見たりした後、彼は三郡山の方へと歩く。この公園、登り口が計四か所存在する。帰りは、奥から二番目、よくよく見ないとそこに降り口があるという事に気付かない階段を使う。階段の入り口に立つと、宇美川が真下に見える。
 階段を下り、途中で右に折れる。舗装されて無い道の向こう側に、もう一つ階段があり、そこを降りて、さらに階段を下りて、宇美川へと合流するのがいつもの散歩コースである。
 異変は、その舗装されていない道を歩いている時に起こった。
 一際強く、周囲の木々が揺れた。何事かと彼は空を見上げる。右側は絶壁で、左側は木が生い茂っている。カラリと絶壁から石が転がり落ちて来た。その石の行く先をぼんやりと追いかけていると、途端、何かの気配を感じた。自分が立っている所が、暗くなっている感覚。直後、彼は何かに押し潰され、地面に叩きつけられていた。
 目を白黒させる。丁度腹這いの格好になっており、彼はそのまま左右を確認する。何が起こったのか、全く分からない。ただ、体を起こそうとしても、背中に何かが乗っかっているようで、体を起こす事は出来なかった。何とか首を捻って背中を確認すると、人の足が見えた。細い足首から見て、男性ではなさそうだ。
「ぬぅ・・・あのすいません。背中に居る人、降りてもらえませんか?」
「ん・・・」
 か細い息遣い。ふっと背中が軽くなったので、彼は慌てて体を起こした。傍には、年の頃は十代前半程度か? 年端の行かない少女が、頭を抱えて被り振っている。
「大丈夫?」
 歴史の教科書で見たことがある、随分と古い衣装を身に纏っている。過去からタイムスリップでもしてきたのか? そんな夢物語をついつい考えてしまう。とりあえず、どうしたらよいのか分からないので、無難に相手の事を心配してみた。
 少女は、彼の方に視線を向けた。しばしの間、じっと彼を見つめていたかと思うと、急に少女は両手を伸ばして、彼の両の頬をがっしりと掴み、キスでもするかのかという距離まで顔を近づけて来た。
 突然の事に、彼も困惑する。目の前に、少女の瞳。その瞳は異様なほど見開かれており、可愛らしい少女と顔を近づけているというのに、異様な恐怖しか湧いてこない。少女の瞳が小刻みに揺れている。左右、時々上下。少女に顔を完全に固定されており、そんな不気味な姿から目を離す事も出来ない。それが、一体どれほど続いたか。実際は、三分にも満たない程度の時間であったが、彼は優に十分は越えているように感じた。
 突然、少女がぱっと手を離した。彼は、そのまま後ろにへたりと座り込む。
「うむ」
 少女は何やらそう頷いて、立ち上がった。
「ざっと五百年は経過しているのか。しかし、これは驚いた」
 少女は、周りをきょろきょろと見渡す。
「随分と様変わりしているが、私がここに現出したことから、火葬墓の近くなのであろうな。人の子よ、お主はここの子か?」
 突然、話の矛先が向けられる。意味が分からず、彼は首を傾げる。
「ここの子? ここの管理人の子供とか、そういうのではないです」
「そういう話ではない。障子岳村で生まれた子か?」
「宇美町出身ですけど」
「誰が宇美村の話を・・・ん? あぁ、統合されて宇美町になったのか。ここは、『塔ノ尾公園』と呼ばれているのだな」
 額に右の拳をあてて、明後日の方を見ながら少女はなにやらブツブツと話をしている。
「まぁいい。ここで育った子であれば、それで構わぬ」
 少女は、少し足の幅を広げて、腰に手をあてて、胸を張った。
「私は、この塔ノ尾公園で、祖霊として奉られていた絶対にして唯一の神である!」
 わけが分からない。わけが分からないが、彼はとりあえずパチパチと手を叩いておいた。

 それは、幽世(かくりよ)と現世(うつしよ)が交じり合った瞬間。
 彼はこの瞬間から、狭間を生きる人となり、審神者(さにわ)となった。
 まつろわぬ神と青年の物語が紡ぐ、祭が始まる。


 現在 企画立案中

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