堕天王の逝く道

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zoom RSS 『そんな一つの奇跡の結果』 夏色キセキ二次創作小説

<<   作成日時 : 2012/06/26 20:49   >>

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夏色キセキ


奇跡の安売り状態の夏色キセキ。もし、それらの裏に別の思惑が存在していたならば? という事をテーマに描いた、二次創作小説です。意図的に、掘り下げていません。掘り下げて書いたら、別に夏色キセキの二次創作小説である必要がなくなってしまう気がしたからです。そういうことは、オリジナルでやればいいと思う。


   そんな一つの奇跡の結果

 もう八月が終わろうとしている。日が暮れるのも少しずつ早まり、夏休みが終わってしまうという切なさと虚しさが、心を占めていく。
 優香は夕暮れの中、帰路についていた。長く伸びる優香の影。
「あぁー、明日から学校かぁー。やだなぁー」
 そんなことをぼやきながら、テクテクと歩く。歩いて歩いて――ふと、優香は不思議な事に気付いて、歩くのを止めた。いつもなら家に着くぐらいは歩いているというのに、先程から景色が動いていない。先程まで聞こえていた虫の音色が、今は遠くに聞こえる。
 不気味な静寂。不思議そうに小首を傾げていた優香。ふと気づくと、少し進んだ先に一人の少女が立っていた。巫女装束を身に纏い、顔を下げている。黒くて長い髪をそのまま垂らしているので、より一層不気味に見えた。
「えと、誰?」
 優香が尋ねると、少女は口を半月の形にした。陰鬱な不気味な笑みである。
「奇跡の対価を支払ってもらう」
「えっ? なに?」
 少女がゆっくりと顔を上げる。年の頃は、優香と変わらないぐらいか。目を大きく開き、少しだけ首を右側に傾けている。その不気味な様に、優香は後ずさる。
「花木優香、あなたに対価を支払ってもらう」
 少女の瞳が不気味に光る。その瞬間、優香は声にならない悲鳴を上げ、まるで暗い井戸へと落ちていくような感覚を味わった。

 五十年後――。
 年を経た凜子は、お石様を見つめていた。五十年前の夏、もうかすれてしまった記憶の欠片。このお石様の周りに四人が集まったのは、あの五十年前の夏が最後だった。
 新学期になり紗季が引っ越し、そして優香が突然人が変わったようになった。優香の方から離れていき、結局別々の高校へと行き、それ以降は分からない。お石様に何度も優香を元に戻してほしいと願ったものの、お石様はその願いを叶える事はなかった。
 石段を降りる。この夏は、凜子にとってその五十年前の事を思い出させるきっかけを与える噂が流れていた。四人の少女が空を飛んでいた――という噂。五十年間押し黙っていたお石様が、また奇跡を起こしているのか。
 凜子は、石段の途中で足を止める。石段の終着点に、中学生ぐらいの少女が立っていたからだ。知らない子であるが、その少女はまっすぐに凜子を見上げていた。
「えっと、もしかして凛?」
「そう……だけど」
 すると少女は、屈託のない笑みを浮かべた。
「あぁー、やっぱりだー! 凛、全然変わんない!」
「優香」
 凜子は、そう口にして自分で驚く。目の前の少女は、優香ではない。縁が切れてしまった優香の子供かもしれないという可能性もあるが、そもそもまったく似ていない。それでも、凜子は咄嗟的に目の前の少女を、『優香』と呼んでいた。
「おぉー、分かるんだー! さすが凛だね!」
 凜子は石段を駆け降り、少女を抱きしめた。全然事情は見えてこない。しかし、今目の前にいるのは、五十年前に消えてしまった『本物』の優香であると、凜子は確信できた。それは、理屈ではない。心が、目の前の少女を優香だと認識したのだ。
「優香……優香……!」
「凜は、おばちゃんになっても泣き虫なんだね」
 五十年ぶりの再会。そして、凜子は五十年越しの真実を知ることになる。

 END

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