堕天王の逝く道

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zoom RSS 瑠衣子と女帝の神さがし 第三話『土地神の襲来』

<<   作成日時 : 2010/12/26 18:38   >>

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無限ループにはまって、もう大変。4回目の全書き直しで、なんとか完成にこぎつけました。
キャラの性格、口調などが、瑠衣子さん以外固まっていないので、なかなか大変です。早く、定着してくれないのかしらね。特に女帝さん。この子、難しい。当初の予定と違って、割といい人っぽくなっちゃったサクヤ姫。これも、最初の毒舌キャラが、作品に合わなくて、こんなことに。
毎回、引きを大切にしようという試みをしているので、終わり方は次回に繋がるっぽい感じで。今回の最後は、女帝、月、愚者に続く4柱目の異世界の神の登場です。容姿で誰か、すぐに分かる。

当初のプロット通り行かなくて、二回目の変身が遠ざかってしまった。女帝さん、超意固地。話が進まなくなるレベルの意固地。早く、柔らかくなってくれないかしら。


てことで、瑠衣子と女帝の神さがし 第三話です。

堕天王式魔法少女
瑠衣子と女帝の神さがし

あらすじ
強制神化を成した沖宮瑠衣子。助けた少女は、異世界の神であると主張し、女帝と名乗った。女帝の協力者になる道を選んだ瑠衣子であったが、そこに現れたのは、黒い髪の少女。これまた神であると匂わせる存在の出現に当惑する瑠衣子。黒い髪の少女は、一体何者なのか?

第一話 『私は、魔法少女になった』
http://47762756.at.webry.info/201010/article_15.html
第二話 『異世界から来た神』
http://47762756.at.webry.info/201011/article_3.html

登場人物
沖宮瑠衣子:本作主人公。25歳で、魔法少女となる。正義感が強い。
女帝:異世界から転移してきた神。向こうの世界で何があったのかは、教えてくれない。



 第三話『土地神の襲来』

 突然、締め切られた窓から入って来た、黒い髪の巫女装束をまとった少女。年の頃は、十代半ばぐらいか。テーブルを挟んで、瑠衣子の正面に彼女は座っている。女帝は丁度その間に座っており、瑠衣子は女帝とその黒い髪の少女をそれぞれ見て、少し頭が痛くなった。
(なにこの状況。世界の枠を超えた宗教戦争でも始まっちゃうの?)
 女帝は、異世界から来た神。巫女装束の少女は、正体はいまだ不明であるが、この世界の神らしい。違う神が同席した場合、戦争にならないのは日本ぐらいなものである。女帝に関わり続ける道を選んだ瑠衣子であったが、正直今は困惑の中にいた。この世界には、神なんていない。だから、異世界の神に協力しても問題はない。そう自然と考えていたからだ。まさか、この世界の神が現れて、しかもいきなり接触してくるなんて思いもしなかった。もし、ここで女帝を取るか、この世界の神を取るか、なんていう話になった場合、それは大変困ったことになる。
「先に自己紹介を致しておきますわ」
 のんびりとした声音で、巫女装束の少女は切り出した。戸惑いの中に居る瑠衣子は、緊張した面持ち。拳を握り、まるで睨むように巫女装束の少女を見つめる。そんな瑠衣子の緊張に、巫女装束の少女も気付いたのか、やんわりと笑った。
「沖宮瑠衣子さん、そんなに見つめられると穴が開いちゃいますわ」
「あ、ご、ごめんなさい。あ……れ? 私、名前、いいました……?」
 慌てふためく瑠衣子。顔も真っ赤である。
「この地域において、私が知らないことはないのですよ。そうでなければ、『神』とは呼べませんもの。瑠衣子さんの心配していることは、よく分かりますわ。私を取るか、女帝殿を取るか、どっちか選べーみたいな事を、言ってくるのではないか。そうお考えなのでしょ?」
「あ……はい」
 瑠衣子は、完全に巫女装束の少女のペースに取り込まれていた。
「安心してください。この世界は、別に女帝殿たちを排斥するつもりはございません。そもそも、この世界にやって来た際、世界が彼らを受け入れなかったら、転移してくることはできませんでした。女帝殿がここに居る事、それ自体が世界が彼らを受け入れた証拠なのですから」
 一つ間を置き、巫女装束の少女は右手を左胸に添えて、まっすぐに瑠衣子を見つめた。
「我の名は、木花之開耶姫(このはなのさくやひめ)。ニニギの妻として、神武天皇に繋がる血筋を生み出したモノ」
 そこで茶化すように、巫女装束の少女――木花之開耶姫は笑った。
「その分神です。気軽に、サクヤとお呼びくださいませ」
「コノハナノサクヤヒメ……綺麗な名前」
「ありがとうございます」
 瑠衣子の素直な感想に、サクヤは上機嫌の様子である。
「今からお出かけなされるという事でしたので、あまり時間を取ってしまうわけには参りませんわね。この度、私がここを訪れましたのは、女帝殿の力を再生するための案を掲示するためなのです」
「女帝の力……?」
 脳裏に過る、あの夜の日の愚者の言葉。
『君の判断は間違ってはいなかった。今の力を失った女帝では、一方的な戦いにしかならない。それをお互い知っていながらも、何の疑問も持たずに受け入れてしまっている。こんな理不尽なゲームは、成立させてはいけない』
 瑠衣子は女帝を見た。女帝は、ただただ冷たい瞳でサクヤを見つめている。その瞳は、瑠衣子を見ている時とはまるで別物であった。
「そのお話、お断りいたします。私に、干渉しないで頂きたい」
「そういうわけにもいきません。私は、神託を拒否できるようには出来ていないのですよ」
「最初から、こちらに選択の余地なんてない事は感じていました。神が、そういう傲慢で身勝手な存在であるのは、どこの世界でも同じようですね」
「左様ですか。でも、女帝殿はただ意固地になっているだけのように見えますよ。まるで、強迫観念の様。私に八つ当たりされても困ります」
「私は、八つ当たりなどしておりません!」
 女帝は、立ち上がって声を荒げた。怒りが、彼女の頬を染める。その様は、瑠衣子から見ても不自然なものであった。
「女帝、とりあえず落ち着いて。この人……じゃなかった、神様は話をしに来ただけ。それを聞いて、どうするのかはこちらの自由。彼女は、強制なんてしていない。そうでしょう?」
「瑠衣子さん、神は人間を駒のようにしか思っていないのです。迂闊に信じれば、魂まで食い尽くされる。神とは、それ自体が麻薬のようなものなのです!」
「いいから座って。女帝の話は分かったから。分かったから、座って。今度は、この神様の話を聞こう。私は、この神様の話を聞きたい」
 女帝は、サクヤを見下ろす。唇を噛み、両の拳を握っている。何が、彼女をそうさせるのか。分からないことが、もどかしかった。
「一旦、出直しましょう」
 サクヤは、すっと立ち上がった。
「ちょっと待って!」
「この状態ではお話が出来ません。女帝殿は、まだ混乱されているのです。とてもお辛い事を経験されたのでしょう。私は、あくまで女帝殿のサポートするよう神託を受けただけでございます。お二人でお話をして、私の力を借りてもいい……そう結論が出ましたら、浦河神社へとお越しください。私は、そこの桜の木を依代としております」
「待って待って!」
 瑠衣子は、サクヤを必死に呼び止めた。
「もう少し情報をお願いします。あなたは、何を提案するつもりだったんですか?」
 サクヤは、ちらりといまだに棒立ちの女帝を一瞥する。
「瑠衣子さんに、不浄なる存在と戦う事を提案に来たのです」
「不浄なる存在?」
「ようは、幽霊とか悪魔とか、妖とか。そういう類のものですわ。女帝殿の力を回復させるためには、女帝殿に合った力を用意しなければなりません。でも、異世界から来た彼女に適した力なんてものはこの世界にありません。ならば、彼女の力に成り得る、加工が可能な純粋な力が必要となってきます。それを発生させる条件の一つが、力と力のぶつかり合いです。強制神化を成し得た瑠衣子さんならば、それが出来ると判断しました」
「……女帝が力を取り戻さなかったらどうなるんですか?」
「存在するだけの力は残されておられるようなので、今すぐに消えてしまったりはしないはずです。ただ、あの夜のように女帝殿に敵対した神が襲ってきた場合、女帝殿の現状の力ではまともに抗う事もできないでしょう」
「分かりました。ありがとうございます」
 サクヤは小さく頷き、最後に女帝を一瞥して部屋から出て行った。彼女の瞳には、憐みが見え隠れしていたが、それに気付いたものはいなかった。
「それじゃ、買い物に行こうか」
 瑠衣子が立ち上がる。女帝は、驚いた顔で彼女を見て、『えっ?』と呟く。そんな女帝に、瑠衣子は快活な笑みを浮かべて見せた。
「今すぐに話を詰めても、無駄でしょ? なら、最初の予定通りに動くべきよ。買い物をして、ご飯を食べて、ゆっくりしてから改めて話をしましょう。私も、少し考えたいしね」
 瑠衣子のひたすらな前向きな姿勢。女帝には眩しく見えた。心が荒れていたのが、少しばかり治まっていくのを彼女も感じていた。女帝は、『そうですね』と少し微笑んで肯定した。
 女帝を連れて、近くのショッピングモールへと訪れた二人。瑠衣子が運転する事が出来たため、二十分ほどの行程である。豪華なドレスを身に纏った女帝は、ショッピングモールに来ていた子供たちに大人気。女帝も、楽しそうに子供たちと戯れていた。
「女帝って、なんだか女王みたいだね」
 子供たちから解放された後、服を選んでいる際に瑠衣子がそう称した。女帝は、静かにどこか悲しげな笑みを浮かべる。
「一応、前の世界では女王の真似事をしておりましたから」
 瑠衣子は、空気を読んで向こう側の話は突っ込まないことにしていた。女帝の顔を見る限り、楽しい話も悲しい話も、同様に女帝の心を締め付けるだけだと、分かったからだ。
 新しい世界。新しい技術や文化に触れて、子供のように目を輝かせている女帝とショッピングモール内で昼食を食べ、家に戻って来た頃には十六時を回っていた。昼食を食べる際、女帝は箸を上手に使える事が判明する。彼女曰く、『神の能力の一部』とのこと。都合がいいものだと、瑠衣子は感心していた。
 家に戻って来た瑠衣子は、リビングの隣の部屋の扉を開けた。この家は、2LDKである。一つは瑠衣子が寝室に使っており、もう一つは物置となっていた。
「ごめんね、この部屋しか空いてないけど、置いてあるものは気にしないでね」
 苦笑する瑠衣子。部屋には、たくさんの本棚や棚が並んでおり、本やDVD、フィギュアまで並んでいた。そう、ここは瑠衣子が趣味で集めている物を保管する場所となっていたのである。
「……色々な物が一杯」
 周りをきょろきょろと見渡す女帝。彼女は、漫画が並べてある本棚の前に座り込んだ。
「瑠衣子さん、これは何ですか?」
「漫画よ。興味があるなら好きに読んでもいいから。あ、こっちの世界の文字は読めないか」
 女帝は、漫画を一冊手に取り、パラパラとページをめくる。
「大丈夫です。文字の解読程度なら、現存する力でも可能です。絵がたくさん……」
「そう。私は自分の部屋に居るから。ご飯が出来たら呼ぶね。それまでゆっくりしていて」
 瑠衣子は扉を閉めて、背伸びをしながら自分の部屋へと戻って行った。
 十八時半を回った頃、瑠衣子は夕食が出来たため女帝を呼びに部屋の扉を叩いた。部屋に入ると、女帝は座り方は変わっているものの、ほとんど同じ場所で漫画を読んでいた。
「女帝、ご飯出来たよ」
「えっ? あ、はい! あ、何も手伝わなくて、すいません」
 謝る女帝に、『気にしないで』と瑠衣子は答えた。食事を終えて、一息つく。瑠衣子の手料理に、女帝は満足し、絶賛していた。
「いいお嫁さんになれますよ」
「ありがとう。でも、相手がいないし。しばらくは結婚も考えてないしね」
「結婚には興味がないのですか?」
「全然ない。男とか、面倒なだけだし」
 即答。女帝は、『勿体ないですね』と呟いた。
「女帝、今が六月二十三日だから、六月の二十九日の夜に、女帝の考えを聞くから。その時に、私の考えも言う。それでいい?」
 唐突に、瑠衣子はカレンダーを見ながら話を切り出した。
「一週間ほどありますが、そんなに時間を頂けるのですか?」
「あの神様が、女帝は混乱しているという事を言っていたけど、凄く納得できてね。昨日、この世界にやって来たばかりで、混乱してない方がおかしいよ。私も、そんな状況ならまともに考えをまとめる事も出来ない。少しゆっくりして、新しい世界にも少しだけ馴染んで、そしたら女帝も素直な答えを口にできるかもしれない。それでいい?」
「……十分です。ありがとうございます」
 女帝は、涙は零しつつも微笑んだ。彼女は神。だが、その感情の豊かさは人間そのものであった。その事が、瑠衣子の認識を狂わせる。
(本当に、神様って感じはしないのよね)
 それならばそれでいい。一人の女の子として、付き合うのも悪くはないはず。瑠衣子は、涙を流す女帝を見ながら、そう思った。変化する日常。非日常への転換。不安がないと言えば嘘になるが、それでも瑠衣子はこの瞬間を充実していると感じていた。

 コンビニの外に出る。雨がしつこく降っており、瑠衣子は辟易とした表情で雨粒を仰ぐ。サクヤ襲来の次の日、瑠衣子は仕事に出かけ、今がその帰り。朝食のパンを買い忘れたことに気付いて、近くのコンビニで買い物をした所である。
 車はコンビニの前に止めたが、乗るまでに少し濡れてしまうのは、瑠衣子にとっても憂鬱。車の近くまで、屋根の下を歩く。その時、ゴミ箱の隣に一人の女の子が立っていることに気付いた。静かに目を閉じ、ピクリとも動かない。神父が纏うようなゆったりとした服を纏っており、静かな湖面を思わせるような美しい水色の髪を腰の辺りまで伸ばしている。この繊細かつ、鮮烈な雰囲気。女帝のそれによく似ていた。
 瑠衣子の視線に気付いたのか。女の子は、開眼して瑠衣子へと顔を向けた。その瞳の色は――。
「人間、私を認知しているのか。その理由を明確にせよ。私は、答え如何では貴様を排除しなければならない」
 満月のような美しい金色の瞳。女帝と違って、感情というものがほとんど欠落しているような感じであった。『排除』なんていう物騒な言葉を口にしながらも、その言葉には抑揚がなく、殺気もない。マニュアル通りの言葉を機械が話しているような、そんな感じだった。
 コンビニの前で発見した、女帝と同じ異世界の神と思われる女の子。女の子は、一体何者なのか。そして、彼女は女帝に仇を成すモノなのか――。

 第三話 END


プロットが狂っちゃったので、次回の話が半分以上真っ白になってしまいました。
とりあえず、次回はこの水色の髪の女の子の話です。

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