堕天王の逝く道

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zoom RSS 今日は連載だけ

<<   作成日時 : 2007/11/22 22:40   >>

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少し探し物とか、設定を組んだりとかで色々忙しいので、
今日は、小説だけ置いていきます。
ちなみに今回の分で、15話は終わりです。

では。

由紀子・夏樹編 1〜12話
http://www5f.biglobe.ne.jp/~pfive/tyouhen/yukine1.html
13話
http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2007&month=8&day=20&cat=2714datenou
14話
http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2007&month=9&day=28&cat=2714datenou
15話
http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2007&month=11&day=10&cat=2714datenou
登場人物
http://www5f.biglobe.ne.jp/~pfive/tyouhen/cyara.html


 由紀子・夏樹編 第十五話『赤鬼発現が招く災厄の足音』 その13

 二十一時を少し回った頃、櫻町の西側――櫻駅の裏側の堤防に由紀子の兄である章吾の姿があった。息を切らせて走っていくそのゴールには、一人の青年の姿。鋭い瞳の持つ主で、無駄のない体つきをしているその青年は、章吾の姿を確認すると、『よっ』と気軽に声をかけた。
「久し振りだな、章吾」
 しかし、章吾の反応は青年とはまるで違っていた。
「よく言う!」
 吐き捨てるように言い、青年を睨み付けた。青年は、そんな章吾を淡々と見つめている。
「勝手にいなくなって、勝手に帰ってくる・・・何をしに戻ってきた?!」
「赤鬼の戒めを打ち破るためさ。それが、アイツの思いだからな」
「尼崎音子か・・・それなら、椿ちゃんの気持ちはどうなる。君が死んだと知って、彼女は変わってしまった。何の罪もない母親を憎み、己の命を投げ打って不毛な戦いを続けている・・・それもこれもお前の身勝手のせいだぞ!」
 静かな波間に、章吾の怒声が響き渡る。
「知っているさ。だが、俺は不器用な人間だからな。一つずつしか出来ない」
「なら、先に椿ちゃんに全てを打ち上げてやれよ!」
「章吾、お前にそんな汚い言葉は似合わないぜ」
「誤魔化すな!」
 章吾は、青年の襟首を掴み締めた。強い怒りを燈す瞳。それを受け止める青年の瞳は、静かで冷たくそして暗かった。
「あの時、君と音子君を助けられなかったのは僕達にも確かに責任がある!」
「それはない。あれは、俺の未熟さゆえの事件だ」
「その未熟さをカバーするのが、我ら小泉家、そして水無月家の使命なんだ! 君を一方的に責める事は出来ない・・・だが! 君にはせめて椿ちゃんには全てを話す責務がある! 橘家の絆をばらばらにしたのは、最終的には君の下した判断のせいである事には代わりがない!」
「・・・・・・」
 青年はしばらく無言で章吾を見つめていた。夜風が二人の髪を静かに揺らす。薄い月明かりの下、章吾は待つ。彼の答えを。
 それは、長い時間のように感じられた。だが、実際は一分も経ってはいない。青年は、『わかった』と小さく呟いた。
「赤鬼の一件が片付いた後に、椿には全てを打ち明ける。だから・・・章吾、お前の力を貸してほしい」
「信じていいのですね?」
「信じて欲しい」
 章吾は襟首から手を離すと、汗ばんだ手をぶらぶらと揺らし、夜風に晒す。
「で・・・私になんのようです?」
「『天岩戸(あまのいわと)』を使う。結界石を用意して欲しい」
 章吾の表情が一気に強張った。
「そんなものをなんに使うんだ?」
「保険さ。赤鬼が再度発現した際の」
「・・・生憎、その言葉は信じられない。でも、椿ちゃんに全てを話すと約束してくれたから、用意はする。それだけです」
 この時になって青年も少しだけ渋い顔をした。
「赤鬼は発現させない。それはすでに決定事項です。それだけは忘れるな」
 章吾は、そう強く告げて堤防を後にした。残された青年は、その背中を見送りつつ深いため息を吐いていた。

 第十五話 END

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